• ナイロン、ポリエステルに続いて、アクリル繊維が羊毛攻略の本命として登場した1960年頃「羊毛よ さようなら」という広告が市場に飛び交いました。それを信じて購入した消費者はその宣伝文句に大きく裏切られ、ウールの素晴らしさを再認識させられた歴史があります。
  • 羊毛は多くの優れた性質を備えバランスよく、調和させています。化学繊維の多くが、羊毛の性質に少しでも近づける事を目標に開発されてきました。

保温性に優れている

(なぜ ヒヤッとしないのか・・・)

羊毛が暖かいのは、羊毛繊維の縮れ(クリンプ)がたくさんの空気を含むからです。羊毛繊維は一定の方向へまっすぐ伸びるのではなく、反り返りながら伸びるため全体がちりちり縮れるのです。この縮れのおかげで羊毛は体積のなんと約60%もの空気を含んでいます。空気には熱を伝えない(熱伝導率が低い)性質があります。熱伝道率の高い麻とは逆で、一度温まったらなかなか体温を逃がしません。触ったらすぐに体温で温まり、温まった熱を逃がしにくいのでヒヤッせず、あたたかいのです。

吸湿、放湿性に優れている

ジメジメしない ムレない

羊毛は、吸湿性・放湿性ともに優れています。発汗による湿気を吸収し、その水分はすぐに発散されます。羊毛の吸湿力は綿の約2倍 ポリエステルの約40倍ともいわれ、繊維の中でもずばぬけています。この優れた吸・放湿力により、羊毛製品は、ジメジメせず ムレにくいのでサラリと快適に使用できるのです。

汗冷えしない

羊毛は汗や湿気を吸った後にそのまま濡れているのではなく、吸着熱を発生させます。よく言われているのは、冬山で遭難した時 綿の肌着は濡れてしまい 体を冷やしてしまいますが、羊毛の肌着は、熱が発生するので汗冷えしません。汗をかいても、きちんと汗を発散させ、体温を奪わずに調整してくれるので羊毛は快適なのです。

燃えにくい(難燃性)

羊毛は人間の毛と同じタンパク質でできているので、燃やしても炎を出して燃えず、焼けた部分が黒色の玉になり、ちりちりとこげる臭いがしますが、自然に鎮火します。このため、寝具や子供服に最適で、また建築資材としても見直されてきています。

汚れにくい

羊毛繊維の表面は、人間の髪の毛と同じ、エピキューティクルという薄い膜で覆われています。その膜は撥水性が高いので雨や水滴などは表面で弾きます。さらに羊毛繊維は水分を含んでいるので、静電気を起こしにくいといわれており、汚れやホコリが付きにくく、ポリエステルやナイロンは静電気を起こすので、チリやホコリを寄せ付けやすいのですが、羊毛はこの心配がいりません。

弾力性に富む

羊毛の縮れは衝撃を和らげ圧力を分散させる特性があります。(腰痛・床ずれ防止に役立つ)又引き伸ばしたり、曲げたりした後に元に戻る性質に優れており、形が崩れにくく、回復力が強く、弾力性が高く、耐久性に富みます。

抗菌、消臭繊維

人間や動物の皮膚は元々外からのウィルスや菌から守る為にあります。羊毛は羊の皮膚が変形したもので、菌が侵入してくるとそれを無害にする免疫機能を持っており、自然の抗菌繊維と呼ばれています。羊毛は悪臭などを吸収し、分解させる性質も持っており空気をクリーンにする消臭機能に優れています。以前話題になった新築の家や家具などから発散される有害化学物質ホルムアルデヒドなどを吸収し、無害にします。(ニュージーランド羊毛研究所調べ)この機能を利用し今では建築用断熱材としてもし使用されています。